2024.07.05
らいおん’s View
Grand bleu /リノベーション記録(その3)

らいおん建築事務所の手がけるリノベーションプロジェクトのスタートは、多くの場合解体工事から始まります。当たり前でしょう?と思われるかもしれませんが、当たり前ではありません。設計やデザインの細かいことを検討したりアイデアを考える前、その場に立ってどんなふうになるか最終型を妄想した後に、まずは不要だと思った部分の床や壁、家具や天井などの内装の解体をするのです。

 

リノベーションの場合、解体工事を行うと最終的な出来上がり状態に一歩近づきます。

木造住宅の場合は構造的な柱・梁の正確な位置や設備の配管や電気の配線のルートなどの現状を把握することができます。

 

今回は築50年の鉄筋コンクリート造のマンションです。

 

今回もまず大まかなプランを考えて、不要だと思う床と壁を解体してみました。今回の建物は天井がないので天井は解体しません。

 

解体して衝撃を受けたことがあります。

キッチンの排水経路がなんとそのまま下の階へ接続するPS(パイプスペース)への排水経路になっているのだろうと当たり前に考えていたのですが、そんな現代の常識は全く通用しませんで、なんと木造の乾式の床下を配管して浴室の排水管に接続されていました。

 

最終的には床全面フラットにして、真っ白なビニル床タイルの仕上げにしようと思っていたのですが、この構想は脆くも崩れ去りました。その場合全面的に床上げしなければならず結構コストがかかってしまうのです。

 

最終的にはキッチンの一部分だけ床上げすることになるのですが「まずは解体から始める」理由はこのようにベースとなる建物の現状をできるだけ設計の最初の段階で正しく把握してコストコンシャスな設計を行うためなのです。

 

 

Text by Shimada Yohei