東京・白山にある築40年の木造住宅「白山の家」を、デザインオフィス兼住居として減築リノベーションを行いました。
施主は、30代のご夫婦。グラフィックデザイナーであるご主人のデザイン事務所も兼ねた住居をつくりたいというオーダーに、中古一戸建てのリノベーションをご提案しました。
ご主人が自宅で仕事をされることや、2人ともお風呂が好きで浴室にいる時間を大切にしたいこと、知人を自宅に集めて食事をする機会が多いことなど、お二人のライフスタイルを考え、お風呂、トイレ、キッチンといった水回りは、カラフルなワンボックスに収め、残りの部屋をひと繋がりのワンルームとして設計。 カラーリングは、デザイナーであるご夫妻とのコラボレーションで決定いたしました。
また、不動産は、斜面地に擁壁(ようへき)のある土地付き建物として販売されていたものでした。通常このような土地は、新築を前提に販売されており、今回のケースでは、新築住宅の確認申請を行なう際に、擁壁(ようへき)の作りかえが必要になります。そのため、建物の解体費用と擁壁(ようへき)の作りかえ費用分を差し引かれた価格で販売されていました。そこで、新築ではなく、既存の建物を活かした減築リノベーションを行うことで、大きなコストメリットを生み、都心に一戸建ての住宅をつくることを実現したのです。
また、過去の所有者の増改築により、敷地外への越境や法定建ぺい率や容積率のオーバーがあり、金融機関のローンが組めない状態でもありましたが、減築の手法を取り入れることで、適法化しローンも組めるようになりました。
住み手の生活や家族構成に合わせ、建物の減築を行うこともあります。減築することで、住宅密集地であっても、日当たりと風通しが良くなりますし、今回は、建物の周囲の空間をうまく取り込むことで、建物内部と連続していくような気持ちのよい庭とテラスができました。ライフスタイルのご要望と様々な状況から、最適な形をご提案をしたいと考えています。
竣工年:2010
場所:東京都文京区
用途:住居
主要構造:木造
規模:100㎡
撮影:中村絵