「ツクツク」は、後ろに2人の子供たちを乗せて、歩くようなゆっくりしたスピードで安全に走ることのできる自転車です。2人の娘たちの保育園の送り迎えの必要にせまられたときに思いつき、代表の嶋田がつくりました。
お母さんが保育園などの送り迎えのために使う自転車は、前後に子供をのせて走るためとても不安定です。通りをかなりのスピードで走るお母さんを良く見かけますが、あれはスピードを出さないとバランスをとれないためだと思うのです。しかも、上り坂では電動アシストの力が発揮される一方、平坦な場所にくると、逆にぐんぐんとスピードが出すぎてしまうという悪循環が起きているのだと思います。
僕は、ゆっくり走っても転ばない自転車をつくれないかと思い、買物用のカゴ付き三輪車を改造し、後ろに子供たち2人が横に並んで座れる自転車をつくってみました。スチールパイプを曲げ、加工して、船舶用のビニールレザーのシートを乗せて、子供たちのシートにしました。ベルトもつけました。タイの「トゥクトゥク」の小さいバージョンみたいなので、「ツクツク」と名付けました。
この自転車は人が歩くのと同じスピードで走ることができます。
子供たちを乗せて漕いでいるお父さんと、歩いてるお母さんと話しながら散歩が出来ます。ちょっと重いけど、それも子供たちとのコミュニケーションの良い思い出になると思っています。
なにより子供たちとお母さんにとって決して安全とは言い難いスピードを出さなければ乗れないような、前後に子供を乗せて走る自転車の矛盾を、本当にそれでいいの?と自転車メーカーに問うてみたいと思っています。
竣工年:2010
場所:東京都豊島区
用途:自転車
主要構造:スチール、ビニールレザー、ウレタン、綿ベルト
規模:W約550、D約410、H約580
撮影:らいおん建築事務所